立春から一年のスタートです
今日2月4日は『立春(りっしゅん)』です。
古い時代の中国で考えられた暦に“二十四節気(にじゅうしせっき)”があります。この暦は太陽の動きを元に、1年を24等分に分けて季節をとらえたものです。立春は二十四節気の始まりであり、今日が旧暦では一年のスタートの日になります。
今日の札幌は、午後から吹雪になり、とても街中では“春の気配”は感じられません。ですが、自然界では突然春が訪れるわけではありませんので、春に向けて着実に準備がすすめられています。そこを見逃さすに「春の気立つを以って也」と命名した昔の中国の方の自然への畏敬の念と観察眼に改めて驚かされます。
現存する一番古い中国の医学書に「黄帝内経(こうていだいけい)」という本があります。
その中に、四気調神大論篇 という項目があり、四季(=四気)それぞれの養生法が書かれており、最初が春についてです。
(原文)春三月 此謂発陳 天地倶生 万物以栄。
(意訳)春の三月(立春より立夏までのこと)は発陳の季節なので、自然界では冬の間に蓄えた栄養から新しい生命が生まれ、人は冬の間に温存したエネルギーを発散させ、そうすることで万物は栄えることができる。
(原文)夜臥早起 広歩於庭 被髪緩形 以使志生。
(意訳)夜に寝て(夕方ではなく夜に寝るので当時としては遅めの時間帯)朝は早めに起き、庭をゆっくり歩き、髪をよく解いて冬の間に縮こまった体の緊張を緩めると良く、心ものびのびとさせるのが良い。
(原文)生而勿殺 予而勿奪 賞而勿罰。
(意訳)生命の生長をとめてはいけない、生長を助けるべきその機会を奪っていはいけない、心の活動を褒めてのびのびさせることは良いが罰のような制限を加えてはいけない。
(原文)此春気之応 養生之道也。
(意訳)これらの考え方は、春の季節特有のエネルギー=春気に順応する方法であり、春の養生の道理である。
(原文)逆之則傷肝 夏為寒変 奉長者少。
(意訳)この春の養生の道理と逆のことを行うと、(春の季節と関係が深い内臓である)“肝臓”を傷めることになる。すると夏になって暑いはずなのに寒さと関係する症状が出やすくなり、夏の季節特有のエネルギー=長気に適応することが出来なくなってしまう。
このように、春に向けての心と体の準備が書かれております。
では、札幌のように立春は、まだまだ庭には雪がどっさりですよ散歩というより雪漕ぎ?、という場合にはどうしたらよいでしょうか。
外の寒さがまだまだ厳しく、心身ともに縮こまってしまう時には、積極的に身体の中からほぐしていくことが大切です。
寒い日、外から帰ってきて、温かいスープを一口飲んだ時、ホッとして緊張がほぐれるような・・・。
雪国につきものの除雪。いつも決まって使う筋肉(右手首から右肩にかけて)や除雪の際の同じ姿勢による筋肉の疲労(背中や腰)、ございますよね?その筋肉の疲労に気が付いて伸ばしてあげる時の心地良さのような・・・。
これ、すなわち、被髪緩形 以使志生 と同じことなのです。
冷えた胃腸を温めてあげることで、内臓全般の寒さによる緊張が緩みます。
筋肉のストレッチは、実は肝臓のストレッチでもあります。“肝は筋を主る”という漢方の言葉があります。筋肉は肝臓にたっぷり血液が流れていることで、柔らかい筋肉を維持出来るという考え方です。
立春は一年のスタートですから、とても大事な日です。
春に向けて健康な身体作りのご提案をブログを通じて発信していきたいと考えております。
題して“養生スープ生活”です。
私自身が普段作るスープをそのままご紹介していきたいと思います。どうぞお楽しみに。
干支着ぐるみに身を包んだ星星(シンシン)君に春を探しに出張してもらいました。
東京調布市にあります神代植物公園の蝋梅です。この日まだ三本しか咲いていなかった蝋梅を星星君は広い園内で見つけてくれました!
蝋梅は、中国原産のロウバイ科の植物で、バラ科の梅とは異なりますが、厳冬期に精巧な蝋で作ったかのように梅に似た可憐な花をつけることから“蝋梅”と名付けられたそうです。花言葉は、「慈しみ・慈愛・先見・先導」です。
春に向けて、先達に学び、身体を慈しむに相応しい立春のお花だと思います。
店内にも蝋梅がございますよ。ご来店の際に見つけて下さいませ。