『すぎな』について
薬茶講座で使用しました『すぎな』について、今日はご紹介したいと思います。
すぎなは別名:問荊(もんけい)とも言います。
漢方薬の原料:生薬(しょうやく)として使われるより、すぎなのみの民間療法の薬茶としての使われ方が日本では馴染みがあります。
民間療法として根付くには、“入手しやすい”=“身近に生えている”ことが大切です。
『すぎな』と言ってパッと植物が浮かばない方でも『つくし』は知らない方はいないでしょう。
すぎなが親でつくしが子供です。
雑草で生命力が強く、粘土質の土地でも繁殖します。
庭作りされる方にとっては、すぎなはかなりの強敵です。
根が地下2m位軽くありますから、地上部を刈ってもすぐに生えてきます。
その植物の生命力を利用して薬茶以外にもいくつかの健康法の素材として使われます。
詳しく知りたい方は、東城百合子著 「家庭でできる自然療法」をご覧下さい。(薬局内でも閲覧できます)
『すぎな』は 中薬大辞典によりますと、
性味:苦・涼〜平or渋 無毒
帰経は記載がありません。
効能は、清熱・涼血・止咳・利尿 とあります。
(清熱:炎症をしずめる
涼血:炎症の程度が重く出血を伴うような症状(膀胱炎の血尿など)に対し、血液の熱を取り去る
止咳:咳止め
利尿:おしっこを出させる)
利尿効果をより強く出したい場合、水で煮出すよりアルコールに漬けたものを服用した方が良いようです。
家庭で使う場合は、むくみだけではなく、膀胱炎の初期症状の時(排尿時の違和感)にも使えそうです。
薬茶講座では、少なめの量のブレンドで紹介致しましたが、すぎなを単品で使う場合は、症状により一回3〜10g位を700ccの水から煎じて、沸騰しましたら5分ほどで火をとめて出来上がりです。
今がすぎなの繁殖期ですので、興味ある方はカビないように日干しか陰干しして自家製すぎな茶を作ってみて下さい。
高温多湿の今時期、ムカムカして食欲がなくなる方が増えます。
そのような方は舌を見て下さい。写真のような厚い白い苔がありますと、胃腸に水があふれていると漢方では考え、ムカムカ・食欲が出ない原因になります。
この症状を緩和するには、前のブログでご紹介した『生のはとむぎ』も効果的ですが、家庭にあるものでは『小豆あずき』が使えます。小豆をカレースプーンで3杯くらいと水1リットルをやかんに入れて、コトコト柔らかくなるまで弱火で煮ます。(空焚きにならないよう注意)
出来上がった小豆茶をお茶替わりに飲んで下さい。
ちなみに、小豆がよいと聞いて、“あんこ”を想像した方はごめんなさい、です。砂糖が入りますと利水の薬効がなくなってしまいます。