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病院受診のタイミング

2014/01/25

薬局で様々なご相談をお受けしているなかで、時々お客様からこのようなご質問があります。

「今日、病院を受診した方が良いでしょうか?」

お客様がご自身で判断がつくような状況であれば、薬局にお尋ねになりません。どうしたらよいか判断がつかない場面だからこそご連絡があります。

そのような時、あいまいな返事はせずにはっきりとお答えするようにしています。

こんなご電話が昨日ありました。

「生理の予定日を数日過ぎたため、妊娠検査薬を使ってみたところ、陽性反応がでました。ですが、その後出血がはじまりました。3日目の今朝から出血の勢いが急に強くなり、一時間おきに交換しても間に合わない位の勢いです。脂汗が出て、立ってもいられません。腹痛も強いです。」と。

しばらくご来店はありませんでしたが、よく体質を存知あげているお客様からの電話でした。

夕方遅い時間でのご連絡でしたので、伺った瞬間にSOSだと感じました。

残念ではありますが、おそらく流産の可能性が高く、ただ流産の出血にしては異常に多い出血量のようです。もともと普段の生理の時も出血が多い傾向であることと、漢方的に“血(けつ)”を消耗しやすい体質であることを知っていましたので、「非常にまずい、急いで出血の勢いを止めなければ」と感じました。

たまたまご主人の職場が薬局に近く、また運良くご主人ともご連絡がついて、帰りに寄って頂けることになったため、急いで、止血作用の強い煎じ薬を3日分準備しました。

ご主人に煎じ方の説明をして、帰宅後に作って頂きました。

そして本日、ご本人からお電話を頂けました。

「昨晩ご主人が作ってくれた煎じ薬を早速飲みました。昨晩のうちに少し出血の量が減ったような感じがあったものの、腹痛の方が辛くて、夜中に何度か起きて痛み止めを飲みました。今朝からは気づくとだいぶ出血の量が治まっています。今日、以前通っていた不妊クリニックを受診した方がよいでしょうか?」と。

薬局では検査が出来ません。お客様がおっしゃるように、一度子宮を検査してもらう必要があり、私も同感です。

でも今でしょうか?そして受診する場所は適切でしょうか?

私は「今日じゃない」とお答えしました。やっと出血の量が治まりつつある状況の中、受診のために無理に身体を動かしたら、再びひどい出血量に戻ってしまう可能性が高いと感じたからです。

そして受診する医療機関もそちらではない、とお答えしました。伺ったクリニックは不妊専門で、かなり混み合っている所のため、予約をしても他の患者さんと同様に1〜2時間待つ可能性があります。

何時間も待ち合い室で待っていられるような体調ではありません。ですから、自宅の近所にある婦人科を受診して下さいとお伝えしました。行かれる前に電話で状況を説明して、受診したら早めに診てもらえるような病院を受診すべきです、と答えました。

患者さんが検査も診断も出来る病院の受診を考えているとおっしゃる時に、止める行為は一見おかしいことに聞こえるかもしれません。

ですが、漢方の考えでは、多量の出血が一日でものびてしまうと、そのお客様がその後にどんな体調になるのか予測できます。

生理的な出血ではない“血”が出た時、失った血を回復させるためにどれ位の月日もしくは年月が必要か。。。。

そして流産による出血は、普通の生理の血と違って、もっと濃い内容の血です。なぜかといいますと、その血で新しい生命を育もうとしていた血だからです。濃い血は、漢方用語では“陰液(いんえき)”と呼びます。

漢方では、血は肝臓で蓄えられていると考えますが、“陰液”は成長〜老化、生殖の中枢と考える”腎臓”にて蓄えられています。そしてこの陰液を消耗もしくは使い込み過ぎると、陰液の取り戻しは年単位でかかります。下手をすると一生戻らない場合もあります。

それだけ、流産後の出血は女性の身体にとって負担が大きく、緊急事態なのです。

“血の消耗”“陰液の消耗”は、その後の生理にも影響します(周期が遅れたり、生理の出血量が減ってしまう)し、妊娠の力が衰えることにもつながる場合があります。疲れやすくなり、考える力ややる気もなくなります。そして夜の睡眠が浅くなり、眠れなくなることもあります。

血が動いている時は、“安静”がなにより大事です。

 

今日から日曜日まで、店頭前の歩道にてアイスキャンドルが始まっております。

キャンドル1 キャンドル2

キャンドルの1つ1つが違った揺らめきと同じく、当店にご相談にこられるお客様はお一人お一人違った事情を抱えていらっしゃいます。

その炎は静かですが、灯し続けるためにお客様は皆様、努力されていらっしゃることを私は良く存じ上げています。

今回は残念な結果ではありましたが、未来につなげるために、身体を何とか護って欲しいと思いました。

その後の状況はまだ伺っておりませんが、症状が落ち着くことを願うばかりです。

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