『五味子ごみし』について
今週日曜日に開催されます、薬茶講座の『五味子ごみし』についてご紹介致します。 五味子(ごみし)は、マツブサ科のチョウセンゴミシの成熟果実です。五味子には黒い色の品種と紅い色の品種がありますが、漢方の原料として使う場合は、黒い色の北五味子を使用します。 お湯を注いだり、煮出しますと、うっすらオレンジ色の薬茶になります。夏場冷やして飲みたい時には、水出ししますと、きれいな赤色のお茶が出来上がります。
五味子の原産地の1つ韓国ではオミジャ茶として女性が美容や健康のために日常飲まれています。
こちらは、煮出した際の色になります。
五味子の効能
五味子の漢方的特徴的な効能は、 “体内を巡っている、また貯蓄している成分の漏れを防ぐ”という”引き締め効果”です。 ちょっと難しい表現ですので、具体的な体調で説明しますと
・慢性疲労からくる倦怠感がとれない時、”気(き)”が漏れていると漢方で考えます。この気がこれ以上体外に出ていってしまわないように、五味子が引き止めます。この時、汗がじわっと出る症状が伴っていることがポイントです。
※気(き):漢方で身体を巡っている成分の1つと考えるもの。気の他に血(けつ)・水(すい)があります
・慢性的につづく咳を止めます。こちらも咳や呼吸と関わる”肺にある気”を引き締めることで咳をとめます。但し熱がある時の咳には使いません。
・身体を酷使した結果、老化現象の1つである尿漏れの症状が出てきた時、五味子と他の補腎作用のある薬草を一緒に服用しますと、”精(せい)”を守り、症状を改善します。
※精(せい):漢方で生命エネルギーのことを表す言葉。成長と老化、生殖能力の意味も含まれる
五味子の成分
果肉と種で異なる成分が含まれます。
果実部分には、精油が0.3%、その他有機酸(クエン酸・リン酸・酒石酸)、フマル酸が含まれます。種には脂肪油約33%、精油1.6%を含まれます。種の精油の主成分はシトラールです。その他結晶性物質として、シトステロール、シザンドリン(解熱作用)、ゴミシンA(解熱作用、鎮咳作用)、シザンドレールB(肝グリコーゲン生成作用が強い)が含まれます。
<参考文献:原色和漢薬図鑑、難波恒雄著>
お味は?
五味子は、5つの味を備えていると言われます。「皮と肉(果実の)は甘く酸っぱく、核中(果実の種子)は辛く苦い。全体として鹹味(しょっぱい味のこと)がある」(by蘇敬、中国唐の時代に薬物書を編纂した人)
実際にお湯を注いだお味は、主に酸味がいたします。酸味の調節は使う五味子の量で出来ます。ローズヒップティーと比較されることがありますが、酸味が主である点は確かに似ています。成分による抗酸化作用がある点も似ていますが、五味子の肺と腎臓を強化できるという薬効を考えますと、五味子の方を断然おすすめ致します。香りと後味は五味子特有ですので、一度ぜひ飲んでみて頂きたいです。
店頭で小分け販売もしております。20g ¥320-(約20回分、税込み)です。
五味(ごみ)とは?
五味子の名前の由来に使われている“五味(ごみ)”とは何でしょうか?
漢方は“五行説(ごぎょうせつ)”という哲学をベースに持っていますが、この五行説とは“人も自然界の一部、その自然界の全てのものは木火土金水(もっかどこんすい)に帰属して考えることが出来、それらはお互いに影響し合い、またつながっている”という哲学です。
五行説では、木火土金水(もっかどこんすい)を自然界を構成している最小単位と考えました。この5つは“五行(ごぎょう)”とまとめて呼びます。
木と木がこすれて火が生じ、火で焼かれた灰から土が生まれ、土の中には金属成分が含まれており、その金属成分の集まる辺りから水脈が生まれ、水はまた木を育てる・・・いかがでしょうか?つながっている五行説の世界を少し感じとって頂けましたでしょうか?
他にも色々な五の分類があります。
その中に五味(ごみ)があります。
五味は、”酸っぱい=酸” “苦い=苦” ”甘い=甘” “辛い=辛” “しょっぱい=鹹(かん)”で表します。
各味には特徴的な働きがあると考えられています 。酸味には、収斂(汗・尿・大便・精液・咳の漏れを引き締めて止める)の働きがあります。
五味の続きの説明は、講座にて。
http://ichiyakusou.com/campaign-yakucha-kouza-201307/