春に向けての身体の準備
さっぽろ雪まつりが終わってから(大通会場〜2/11)から雨水(2/19) にかけて日中気温プラスが続き、一時歩道の舗装がみえるほど、雪融けがすすみましましたが、20日(土)の夜からの降雪で一気に雪景色に戻りました。積雪量は昨年度今時期を越えています。
今週いらしたお客様からご質問をいただきました。
ご来店されたのは息子様で、漢方薬を服用されているのはお母様(70代後半)。
お母様は血圧の安定のために漢方薬を断続的に服用されていらっしゃいます。
「最近血圧が安定しているので、母親は一時漢方薬を休もうかと思っている。それは適切でしょうか?」とのご質問でした。
わたしからお伝えしたことは、
「今はその時期ではないと思います。2月は天候の変動が大きい時期です。じっさい先週末から冬型の気圧配置に戻り、真冬に戻った実感がありますよね。血圧は心臓や血管だけではなく自律神経の要因からも変動することが考えられます。漢方では、人間は自然界の一部と考えます。四季がはっきりある日本、特に雪国の北海道は冬の季節が厳しいため、冬から春への気候の変化が一年で一番ダイナミックです。自律神経のバランスに関係する疾患や症状をお持ちの方は、特に気をつけてもらいたい時期なんです。
薬の一時お休みも含めて、服用方法を大きく変える時期は、春の季節に身体が慣れるころ、4月下旬くらいまでは様子をみられた方が宜しいかと思います。」
とお伝えしました。
息子様は納得して下さり、お母様にもお伝えしていただけることになりました。
春を迎えるために身体の準備
春が待ち遠しいこの時期、日中の気温がプラスの日が続きますと、気持ちも身体も動きたくなってくるものです。
このような時期はどのようなケアをしていくと心地よく春を迎えることが出来るのでしょうか。
私からの提案は、“身体をあたため滋養する”ということです。
先程、冬から春にかけての変化が一年で一番ダイナミックです、と説明しました。大事なポイントは大きく動くのはエネルギー(漢方では“気(き)”と呼びます)だということです。人間の身体もまた、エネルギーをスムーズに体内で生み出し、そして利用できた時、身体も心も大きく動かすことが出来ます。
もし体内のエネルギーの量が少ないと、身体がだるくなったり、元々お持ちの症状(毎年この時期のみ出る症状かもしれません)が悪化する場合も考えられます。
春に向けた準備は、自然界の変化に身体がついていけるよう、自分自身の身体にしっかりエネルギーが作れるよう、蓄えられるよう“滋養食”を摂っていただくことです。
この時期の滋養食には、脂肪が少なく良質なタンパク質が摂れるものがおすすめです。骨(髄)を含む魚や肉のスープです。
魚は、丸ごといただけるものが良く、例えば旬の魚:『ごっこ(ホテイウオ)』はいかがでしょうか。
皮やひれも含めてほぼ全体をいただくことが出来ます。根野菜や長ネギ、生海苔を入れてのごっこ鍋はとても美味しいです。個人的には、ごっこの愛らしい顔(ぬめりをとるためにお湯をかけた後)が好きなこともあり、この時期の楽しみです。
私たちの身体の太い骨(背骨や大腿骨)では、血液の元になる骨髄が作られます。これを漢方では”精(せい)”と呼び、生命エネルギー(=精気)の元だと考えます。
薬膳の考え方で、丈夫にしたい部位があれば動物のその部位をいただくという考え方があります。それが骨(髄)からとったスープです。
肉を用いる場合は、『スペアリブ(豚のあばら骨)』や『鳥もも骨付き』がおすすめです。
薬味として長ネギの青い部分、生姜、ニンニクを1〜2片入れ、骨から良いスープが取れるよう、時間をかけて(2〜3時間)煮込んで下さい。
一晩置きますと、翌朝脂肪分が固まって浮きます。それを取り除く(後日炒め物に使えます)と、さっぱりしたスープが出来上がりますので、お好みの野菜を入れて再度煮込みます。
滋養食の他に、“身体を冷やさないこと”が春の準備に改めて必要です。
春は冬で縮こまった身体をのびのびさせてあげたいため、冷えた身体では伸びません。日中プラスの日があっても、腰から下はまだまだ冷えやすいため、下着の調整は上半身で。また汗をかいた時(除雪含む)は早めに着替えることが大切です。汗で冷えた下着は一気に身体の熱をうばいます。
身体の寒さがとれないなと感じた時は、湯船でじっくり温まって下さい。その際、よりあたたまる効果が得られる薬湯(やくとう)もおすすめです。
春は確実に近づいています。
春を迎える身体の準備のご提案を店頭で行っておりますので、ご来店の際にお話できれば幸いです。