秋の美瑛、富良野のファーム富田さんに行って参りました
10月12日、富良野市にあるファーム富田さんに行って参りました。
いちやく草では、漢方の“疏泄(そせつ):気(き)が身体を巡っていること”という独特の考え方を体感していただくために、店内に北海道の香りコーナーを作っております。
そこで、ファーム富田さんのラベンダーオイルと北見通商さんの和種薄荷オイルをご紹介しております。
残念なお話ですが現在のファームの創設者:富田忠雄さんが、今年の7月4日にご逝去されたました。先日の連休に機会が得られ、行って参りました。
ラベンダーの株達は、初冠雪情報が毎日のように聞かれるこの時期、冬に向けての手入れが終わったところでした。(株の間の雑草がきれいに採り終えていました)
写真の白い機械は、プラウという大型機械を使う前にラベンダー畑の土を耕していた耕耘機だそうです。今はモニュメントとして“倖(さきわい)の畑”に飾ってありました。
富田忠雄さんの写真です。
ラベンダーを香料を採る畑から、観る畑という観光地に変え、ラベンダーの本場であるフランスのプロヴァンスから功労者として認められ、日本人として初めて騎士号をいただいた偉大な方でした。
(1990年10月13日 オートプロヴァンスラベンダー修道騎士号授与)
ラベンダーの蒸留は終わっていましたが、工場の中で一番観たかった『蒸留の舎』に行くことができました。
蒸留の歴史については、『花人の舎』の二階に実物や図解の説明がありました。
現在は、“加圧水蒸気蒸留法”でラベンダーの精油を抽出しているとのことでした。
漢方薬の製造も今はエキス抽出が中心となり、昔ながらの煎じ薬から顆粒や錠剤といったすぐに服用できる形態に変わってきております。
原料生薬には薄荷(はっか)・蘇葉(そよう=赤しそ)など、ラベンダーの精油と同じように、有効成分に精油を含むものがあります。
これらの生薬は香り(精油)が薬効ですので、他の生薬を煮出す過程とは分けて抽出する必要があります。そのため精油を集めてからエキスに加え、効果のある漢方薬が作らています。ラベンダーの蒸留と漢方薬製造の共通性を思いながら見学してきました。
こちらは2003年にオープンした『ドライフラワーの舎』の室内です。
プロデュースされたレン・オークメイド氏(オランダご出身)が「ラベンダーの咲く夏ももちろん良いが、秋の北海道の素晴らしさも知ってもらいたい」との思いから、作られたのだそうです。
今回訪れた美瑛(びえい)町の畑の風景です。
稲の刈り取り、玉ねぎやじゃがいもの収穫が終わった畑と、冬前の牧草を育てている畑とのコントラストを観られるのが、美瑛や富良野の秋の景色です。
あいにく写真が撮れたのは、激しい雨が降る合間でした。もし好天でしたら収穫が終わった畑の“土”がより美しく写真に映えたと思います。“土”からの恵みを感じたり、その美しさを見ることが出来るのが、北海道の秋ならではの景色ではないかと思うからです。
秋は、大地の恵みにより収穫された作物を味わえますので、私たちの命をつないでくれていることを実感できる季節だと思います。
今回ファーム富田さんに伺う前に、近くの図書館から富田忠雄さんの著書を借りて読みました。ラベンダーに一生を捧げた方の文章には、引き込まれる力がありました。
ラベンダー産地は世界各地にあり、輸入品や人口香料などに押され、北海道のラベンダーは無くなる寸前まで衰退しましたが、富田さんはじめ北海道の各方面の方々の努力により、北海道のラベンターは守られたのです。
現在、漢方薬の原料は輸入に頼っており、ほとんどが漢方の本場の中国産です。
ですが、わずかながらも日本で栽培されている生薬があります。北海道でも昔から栽培されている生薬があり、当帰(とうき)・川きゅう(せんきゅう)・芍薬(しゃくやく)・ヨクイニン(はとむぎの皮を取ったもの)などが挙げられます。
いちやく草は小さな漢方薬局ではありますが、北海道の生薬をまもれる薬局でありたいと思いました。
あいにく雲がかかっており、十勝岳連邦ははっきり写せませんでしたが、山頂付近は積雪しておりました。雪の降らない地方の方には馴染みがないかもしれませんが、雪虫(白い雪のようなものがついた羽虫で、この虫が飛ぶと近々雪が降るお知らせの虫です)を、ファーム富田さんの花人の舎の外でこの秋初めてみました。
札幌近郊の山の山頂にも連休明けに雪がつきました。札幌でも今日雪虫を見ましたので、着実に冬が近づいております。冬の準備もそろそろ始めないとですね。
薬局に御来店の際は、北の香りコーナーをぜひご覧下さいませ。