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2016年夏の講座開催

2016/08/07

P1020186札幌市予想最高気温33℃の立秋に、いちやく草夏の講座を開催致しました。

暦よりやや遅れて進む、北海道の夏です。今はまだ“どくだみ”も“赤しそ”も収穫できます。

今回、夏の講座で取り上げました“どくだみ”と“赤しそ”について、ご参加いただきました方と一緒に学びました。

2016夏の講座レジメ

日本に定着した“どくだみ”の使い方

“どくだみ”は面白い薬草です。

日本固有種ではないのですが、原種がある東アジアとは異なる使い方で定着しています。

日本で“どくだみ”と言いましたら「どくだみ茶」が思いつきます。サラダにして食べるとか、麺にトッピングとして載せるとか(ベトナム)、炒め物に使うとかではありません。“健康のためにお茶として飲むもの”が連想されます。位置づけは“民間薬”なんですね。日常起こりうる症状を改善するためにどなたでも飲むことが出来る、薬茶です。

期待できる効果は“ジュウヤク”で調べます。“どくだみ”は民間薬であっても食品に当たりますので、効果は言えません。ですが別名“ジュウヤク(十薬)”と呼びますと日本薬局方に載っている医薬品になります。

“ジュウヤク”の効能効果は、「便秘・尿量減少・便秘に伴う吹出物」です。下剤ほどの強い働きはありませんので、胃腸とお肌の解毒ができる薬草、でしょうか。

生の“どくだみ”独特の香りは、精油成分のデカノイルアセトアルデヒドによるもので、この成分には天然の抗菌・抗ウイルス作用があります。

そのため、昔は肌の傷に生の葉をもんで当てたり(殺菌)、蓄膿症に対してやはりもんだ葉を鼻につめて、排膿させて治したそうです。

乾燥させますと香りがなくなりますので、抗菌・抗ウイルス作用はほぼなくなりますが、花や葉・茎に含まれるフラボノイド配糖体が先程の解毒の力を発揮します。

生薬として漢方薬に用いることもありますが、あまり頻用されません。

生薬の性質としては、

性味:辛・微寒、帰経:肺・腎・膀胱、効能:清熱解毒・消癰・利水

になります。”微寒”から少し冷える性質がある薬草と言えます。ですので暑い夏にはほてる身体を冷ましてくれることを期待できますし、高温多湿から起きやすい夏の感染症から身体を護ることもできる薬草と言えます。

“赤しそ”は日本の食文化の名傍役

今日の講座でもう1つご紹介しましたのは、“赤しそ”です。

“赤しそ”にもいくつかの品種がありますが、1年草でありながら、秋に落ちた種で翌年また生えてくる自生する力の強い植物です。

“赤しそ”の香りをかぎますと多く方は梅干しを連想し、反射で唾液が出てきます。面白いですね。

“赤しそ”も梅も中国から渡来したようですが、いわゆる赤しそと塩と梅だけで作った梅干しを食べているのは日本人だけではないでしょうか?

赤しその香り成分:ペリアアルカロイドには抗菌作用があります。梅を漬ける時に非常に役立つことがよく分かります。

生薬として漢方薬で使う際には“ソヨウ(蘇葉)”と呼びます。

ソヨウの性質は、

性味:辛・温、帰経:肺・脾・胃、効能:散寒解表・理気寛中 です。

(温は温める性質があるということ、散寒解表は夏かぜを追い出す力のこと、理気寛中は胃腸の働きをサポートするという意味です)

漢方薬としては、

・香蘇散(こうそさん):胃腸が弱い体質の方の風邪薬に

・カッ香正気散(かっこうしょうきさん):夏の多湿による胃腸疾患(軟便・下痢・食欲不振)に

・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):ストレスから生じる喉詰まりに

にソヨウが入っています。

“どくだみ”と“赤しそ”を一緒に使うと?

“どくだみ”は微寒で、“赤しそ”は温の性質があることが分かりました。

冷え症がお悩みの方は多いので、冷やす性質がある“どくだみ”は心配な気が致しますね。

そのような時は、温める性質の薬草と一緒に用いることで、薬草が持つ性質を緩和することが出来ます。

“どくだみ”と“赤しそ”を組み合わせて用いますと、冷やさないということですね。

講座では、“どくだみ”+“赤しそ”薬茶を作り、試飲致しました。

今回講座用に札幌産“どくだみ”と“赤しそ”を収穫しましたので、通常店頭で取り扱っております“ジュウヤク”+“ソヨウ”茶と飲み比べてみました。

2016講座どくだみ味違い

右が講座用どくだみ+赤しそ茶です。左手がジュウヤク+ソヨウ茶です。

確かに、色も味も香りも異なります。

どくだみは乾燥はしておりますが収穫して3週間ほどですので、デカノイルアセトアルデヒドの香りがまだ残っていることが比較でわかります。

それは、赤しそも同じです。

味は収穫したものの方がまろやかな感じがいたしました。

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講座の最後にお土産として薬湯用“どくだみ”・薬湯用”赤しそ”をパックに詰める作業を一緒に行い、33℃の真夏日の疲れをさっそく今晩癒していただくことにして、お開きと致しました。

札幌はしばらく晴れの日が続きますので、今から収穫して乾燥させましても十分間に合います。夏による身体の疲れを回復させてから、お盆過ぎにくるであろう秋の気配を感じたいものです。

 

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