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漢方薬の郵送・通信販売の禁止について思うこと

2009/05/07

(2014/05/31 追記)2013年1月に厚生労働省のネット通販を規制する省令は無効とする最高裁判決がでたことで、店頭などで市販される大衆薬のインターネット販売は2014年6月12日からほぼ全面解禁となっています。一般用医薬品を対象に6月12日からスタート! 医薬品のネット販売を安心して利用するために:政府広報オンライン

報道や薬局店頭でご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、6月1日より『第3類医薬品を除く、医薬品の郵送・通信販売』が禁止になります。

これは『薬事法』という、(医薬品・医薬部外品・化粧品・医療器具などの有効性・安全性を守る基本の)法律の改正に伴うものです。省令として、今年2月6日に出されました。

概要は→ 厚生労働省 薬事法施行規則等の一部を改正する症例の概要

ご覧頂くと分かりますように、郵送等販売だけでなく、医薬品をリスクに応じて、第1・第2・第3類医薬品と分けたり、情報提供者の立場(薬剤師なのか、登録販売員なのか)を明確化したりと、消費者への情報開示に力を入れている内容です。

議論になっているのは、第1・第2類医薬品販売を“対面に限る”としたことです。対面でないとは、インターネット・電話・FAX・郵便という通信手段を用いて医薬品を購入することです。

気軽に、危険性を知らずに、医薬品を大量に入手出来る状況はよくありません。過去のスモンやサリドマイドは一般医薬品から起こった薬害であり、同じ事が起こらないよう予防策を立てていくことは大切です。

反面、電話やインターネットの普及で情報の伝達速度が変わりました。新しい、欲しい情報を素早く入手出来たり、全国どこかで同じ状況の人がいるかどうかも情報交換出来る世の中になりました。

対面販売の目的が、正しい情報を消費者に提供し、副作用が起きたり、もし万が一薬害が発生した場合に素早く適切に対応することであれば、対面販売だけが、その手段になるかと言うと、疑問に感じるのです。

わたしは電話であれ、インターネットであれ、便利になった通信手段をもっと上手に利用して、国民の健康維持に役立てられないのかを検討しても良いと思っています。

2つ目の問題は、この通信販売禁止により、今まで薬局に電話をかけて相談し、漢方薬などを送ってもらっていた患者さんが、その漢方薬を入手出来ないだけでなく、相談できる場所を失うということです。わざわざ遠方に電話をかけるのは、安心して相談出来るからこそだと思います。

特に体調のことで相談したい場合、この薬局だから、いつもの担当の方だから相談できる、と思う方は少なくないのでは・・・。

3つ目には、零細漢方薬製造メーカーが岐路に立たされることです。

朝日新聞4月29日、『私の視点』に載っていた記事↓

「通販禁止、乱暴すぎる」朝日新聞2009年4月29日『私の視点』

日本には、昔から胃薬・便秘薬などを作っている小さい製造メーカーが沢山あります。そのメーカーは都会にあるわけではありません。地域に愛されている薬であっても、お客さんは引っ越しなどで移動したり、人づてに紹介されて、全国に愛用者がいるものです。

それが、その地域に住む方だけに販売することになれば、おそらく経営が難しくなることは予測できます。

仮にある零細メーカーさんが廃業することを決めたとします。すると、そこで作られていた漢方薬の処方は永遠に消えることになります。他のメーカーが作るのでは?と思いますが、その家代々の処方であれば、製造の仕方にも工夫があり、それを全て第三者に譲ることはあまり考えられません。実際、廃業により二度と入手出来なくなった漢方薬処方があるのです。

今の日本では、あらたな医薬品の許可を取ることは、何十億という莫大な金額がかかるため、大企業でも難しいことです。消えた一処方のために、利用者がいるからと言って、あたらにその漢方薬の許可申請を一からする企業はないでしょう。

零細製造メーカーが1つなくなるという事は利用者が困り、日本の伝統薬の歴史の損失にもなります。

現状では6月1日から施行されますが、厚生労働省の動きに注目が集まります。

コメント

  • ありがとうございます
    こんばんは。
    とりあげていただき感謝します。
    戦いは始まったばかり。
    命を賭けて頑張ります。

  • いちやく草 2009/07/25

    頑張って下さい!
    川又慎様
    コメントをお寄せ頂き有り難うございます。
    個店の声は小さいものかもしれませんが、せめてお客様の健康維持に何らかの支障が出る可能性があれば、声をあげることは大切だと考えております。多数の意見だけが正しいという事はありません。
    応援しております。

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