養生生活素材

山芋・長芋

秋の「乾燥（燥邪そうじゃ）」からくる体調不良や病気にならないための食事・生活習慣（＝養生）のひとつとして「山芋」がおすすめです。

秋は乾燥からくるさまざまな体調不良がおこる季節です。

漢方・中医学では、これらは「潤い不足」からくる体調不良と考えます。

山芋には身体の潤いを補う作用があり、これらの体調不良を感じたり病気になってしまう前に、普段の食生活にとりいれることで、秋の乾燥に負けない体づくりに役立ちます。

また山芋はさまざまな栄養素が豊富で、滋養強壮（体に栄養分を補い、元気にする）効果もあるため、夏から持ち越した疲れや、季節の変化からくる秋の疲れ、体調不良にも最適です。

山芋は日本原産のヤマイモ、ヤマノイモ、ジネンジョ（自然薯）と、中国原産で17世紀以前に渡来したナガイモ、イチョウイモなどがあり、産地や地域により様々な特徴や形、名称があります。一般的にはあまり区別なく「ヤマイモ」と呼ばれています。

スーパーなどでは「ナガイモ」の方がよく見つかり一年中出回っていますが、本来の旬は秋から冬にかけての10月〜1月あたりです。

秋は乾燥の季節であり、乾燥（燥邪）が体に悪影響をあたえやすい時期です。その乾燥からもっともダメージを受けやすいのが「肺」です。

漢方・中医学では「肺」は呼吸機能以外にも、身体に必要な「潤い（津液しんえき）」を全身にまわす役割があります。

秋の乾燥（燥邪）からの悪影響で「肺」がダメージを受け、潤いが失われると、全身に水分がまわらなくなります。そのため、咳や口の渇きなど呼吸器系への影響、肌の乾燥、便秘など、「潤い不足」からくるさまざまな不調の原因となります。

山芋は、その「潤い（津液）」を補ってくれる作用（補陰）がある食べ物のひとつで、秋の乾燥からくる体の不調を予防するにはぴったりの食材です。

山芋は「山うなぎ」と言われるほど古来から滋養強壮に良いことが知られており、実際ビタミン・ミネラル、食物繊維が多く含まれ、栄養補給、滋養強壮にはうってつけの食材です。

大根おろしが胃腸に良いことは有名ですが、山芋には大根の数倍の消化酵素が含まれているため、消化吸収に大変優れており、健康な人はもちろん、胃腸が弱い方や食欲がない方にも安心です。

山芋のネバネバの成分が、一緒に食べた食べ物を包み込みゆっくりと消化吸収されるため、少量の食事でも腹持ちが良く肥満予防の助けにもなります。またゆっくりとした消化により、食後の血糖値の急激な変動からくる眠気やイライラ、不安感などを緩和し、膵臓への負担も軽くします。

山芋に含まれる消化酵素は熱に弱いため、そのまま生で食べるのが一番ですが、加熱するときはあまり加熱しすぎないように工夫するとよいでしょう。

食べ方としてはそのまま短冊に切って、お好みで醤油やそばつゆ、ポン酢などでいただいたり、すりおろして卵の黄身とそばつゆなどを混ぜて食べるのもおすすめです。

漢方・中医学では、山芋（または長芋）の皮を剥いて乾燥させたものは「山でできる薬」という意味の「山薬（さんやく）」と呼ばれ、さまざまな漢方薬に配合する生薬のひとつとして使われています。

山芋を乾燥させた生薬「山薬」には以下のような効能があります。

山薬は津液（しんえきー体を潤す水分）を補う代表的な生薬のひとつで、有名な漢方薬としては「八味地黄丸（はちみじおうがん）」、「六味丸（六味地黄丸）」など様々な漢方薬で使われています。

普段の食生活、養生だけでは抑えきれないような症状がでてきたり、病気になってしまったときは、さまざまな薬効のある生薬をくみあわせた漢方薬も検討されると良いかもしれません。

その病気や症状、さらに人によって違う体質や生活習慣などを加味したご相談の上で、それぞれの体に最適な漢方薬を服用することで、普段からの養生だけではおさまらない体調不良や病気からの回復を促します。

公開日：2014/11/05
最終更新日：2014/11/07